架空プロレス団体DESTINY

架空プロレス団体DESTINYのトピックスを投稿します

タツ・マモルのプロレスコラム 第2回 悪魔鳥人シャックスと悪魔軍団-デビルズ・ゲート-の興亡史

f:id:defensedragoncreation:20220702035649j:image

強烈な光は、漆黒の闇がなければ意味を成さない。つまり、英雄のいる地に邪悪な者達が降臨するのだ・・・。

第2回、このプロレスコラムでは悪魔鳥人シャックスと悪魔軍団-デビルズ・ゲート-の興亡について語りたい。

悪魔鳥人シャックスは現在、DESTINY王者であり、トップヒールとして団体に君臨している。

彼は以前開催された「ドリーム・ロード・トーナメント」で優勝し、それからDESTINY最大の特番「インフェニティ・ポッシブル」のメインイベントで王者ファルコンをクリーンファイトで破り、DESTINY王者となったのだ。DESTINYにおいて、「インフェニティ・ポッシブル」のメインでDESTINY王座を戴冠するということはかなり大きな意味を持っている。

「インフェニティ・ポッシブル」のファルコン戦の直前では、フィニッシャーvsリーガン戦という期待の一戦が組まれており、試合前の舌戦ではリーガンの口から、「DESTINYはフェイク」という発言が飛び出し、一気に話題を掻っ攫っていた。もちろん、ファルコン戦も期待されてはいたが、話題性も含めて期待値はフィニッシャー vsリーガン戦の方が遥かに上回っていたのである。いざ試合が始まると予想通り、激しい肉弾戦が繰り広げられただけでなく、実況席・防護壁まで破壊するというエキサイトぶりで、まさにメインを食ってしまいかねない内容だった。

その"荒れた中"、メインイベントが開始されたのである。しかし、いざ蓋を開けてみると通常の試合形式ながら、フィニッシャーvsリーガン戦に引けを取らない、メインイベントにふさわしい名勝負となった。ファルコンとシャックスはスタイルが似通った上に、互いをよく知り尽くしている。そう、かつて両者は熾烈な軍団抗争を繰り広げたもの同士であった。それはDESTINYの世界観を象徴とする抗争劇、シャックス属する悪魔軍団-デビルズ・ゲート-vsファルコン属する正義軍の善と悪の戦いであった。

シャックスと悪魔軍団-デビルズ・ゲート-

そもそもシャックスの由来はその名の通り、コウノトリの姿の悪魔シャックスからである。それから転じて"DESTINYのシャックス"には悪魔鳥人という異名が付けられている。

ヘビー級ながら、優れた身体能力を活かしたスピード感溢れるファイトスタイルが特徴。フィニッシュ・ムーブはSDM-スパークリング・デビルズ・サモン-(シャイニング・ウィザード)、得意技はシャックス・ドライバー(ノーザンライト・ボム)と、インフェニティ・ポッシブルのファルコン戦に向けて使い出したデビルズ・ショット(コンプリート・ショット)がある。またオコーナー・ロールなどの丸め込みを得意としており、前述のファルコン戦では、一度オコーナー・ロールで丸め込んだものの、二度目はその体勢に持ち込んだがフォールせず、それから距離を取ってデビルズ・ショットを見舞うという合わせ技を見せた。その一撃が勝利に繋がったのである。

シャックスは日々進化している。またマイクパフォーマンスもなかなかで、憎たらしいコメントも残す。だがデビルズ・ゲートの初期は自分からプロモ(マイクパフォーマンス)をするタイプではなかった。

デビルズ・ゲート メンバー

ザガン(離脱)

シャックス

ボティス(長期欠場中)

シャドー・イーグル(ザガン離脱後に登場)

初期のデビルズ・ゲートにはリーダーは存在しないとされていたが、実質"まとめ役"はザガンでスポークスマン役でもあった。無口ながらもパワーファイターのボディスに、身体能力を活かしたスピーディーなスタイルのシャックス、そしてオールラウンダーのザガンという、バランスの取れた悪役チームであった。メンバーのネーミングについては悪魔に詳しい方なら、ある共通点が存在することに気づくと思う。

デビルズ・ゲートの活動理由は魔王の命を受けたものであるという。魔王はいっさいその姿を見せてはいないが、目的はこの団体を支配することであり、デビルズ・ゲートはそのための尖兵ということらしい。

そんな悪魔軍団デビルズ・ゲートはDESTINYに出現後、真っ先に英雄ハーキュリーズを標的とした。ここでDESTINYを象徴とする善と悪の戦いが幕を開けたのである。

最初は1対3という、数で勝るデビルズ・ゲートであったが、孤軍奮闘するハーキュリーズに、"ブラック・ファルコン時代"のファルコン(後述)とポセイドンが加勢、その3人で正義軍(正式名称は存在せず、便宜上この呼び名)を結成し、デビルズ・ゲートに対抗。いよいよ役者は揃い、ついに善と悪の戦いは軍団抗争の形となった。特にスタイルの似ているシャックスとファルコンが戦うと会場が盛り上がることから、徐々にその場面が増え、互いにライバル視するようになった。

しかし、ここでなんとザガンが団体を離脱してしまう。

ザガンの離脱とイーグル、予定前倒しの登場

デビルズ・ゲートの中心的人物の離脱は、せっかく勢い付いた抗争劇をストップしてしまいかねないものであったが、急遽シャドー・イーグルがデビルズ・ゲートの新メンバーとして登場(後述)し、なんとか3対3の構図を保つことになる。

この章に至っては前回のコラムに続き、元関係者X氏の詳しい証言を元に綴っていく。

唐突なザガンの退団劇については、以前からザガンが自身のキャラクターやストーリーラインに難色を示していたためだという。またイーグルは当初、第4のメンバーとして登場する予定だった。

ここでお気づきだと思うが、"シャドー・イーグル"は他の悪魔達のネーミングの共通点から外れている。それはイーグルのネーミングがブラック・ファルコンに対応したもの、つまり最初からブラック・ファルコンのライバルとして"デザイン"されたキャラクターなのだ。ファルコンの親友レスラーが悪魔に心をつけ込まれ、魂を売り渡した姿という設定である。

そのためイーグルの登場が控えていることから、当初は"役割の被る"シャックスとファルコンをライバル関係にするつもりはなかったが、前述の理由からライバルにせざるを得なかった。しかし、第2のライバル・イーグルの登場により、ファルコンのライバル関係はイーグルに移った。

なぜ、ファルコンにはイーグルという分かりやすいライバルが存在するのか?

"ブラック・ファルコン"はその名の通り、ダークな雰囲気を持つベビーフェイスで、独自の立ち位置にいるキャラクターである。しかし、そのキャラクター性によってどこか感情移入しづらい。だからこそ、"元親友"イーグルという分かりやすいライバルかつ、悲劇のストーリーを追加することで感情移入しやすさと、さらなる人気獲得を狙ったテコ入れだったのだ。

ここで重要なのが、ハーキュリーズ"統治時代"にファルコンはザ・フィニッシャーと違って、人気を獲得してもあくまで2番手でいたことである。だからこそ、同じベビーフェイスのハーキュリーズとファルコンは共存できたのだろう。

この予定の前倒しは、後のストーリーに大きな変更をもたらした。

第4のメンバー・イーグルの登場、それはつまりデビルズ・ゲートは4人体制のグループになる予定であったのだ。ということで、正義軍側も同じく、第4のメンバーの登場案があったという。あくまで正義軍側はまだ案の段階で、そのメンバーについては考えられていなかったようだが、もし第4のメンバーになるとしたら、一体誰だったのか?さらに正義軍・第4のメンバーの登場によって、この抗争劇やその後の団体の勢力図は今とは違ったものとなっていたに違いない。そこには想像の余地がある。

ザガンの離脱とイーグル登場により、ライバル関係を譲ることになったシャックス。これが結果的にシャックスのキャリアの分岐点となる。ライバルという、せっかくの見せ場を失ったように思えるが、その中でシャックスは自らをデビルズ・ゲートのリーダーと宣言(シャックス・リーダー期を後期デビルズ・ゲートとする)、ザガンの代わりに積極的にプロモを行うようになり、デビルズ・ゲートの存在をアピールする。またそれだけなく、もともとのポテンシャルに狡猾さも加わって、正義軍のリーダー・ハーキュリーズと対等に張り合うようになる。

後期デビルズ・ゲートの隆盛と終焉

シャックス中心のデビルズ・ゲートは、そのヒールさに拍車がかかり、基本的にどの試合でも、試合に出場していないメンバーが積極的に介入、仲間を有利な方向に導いていく。この頃のデビルズ・ゲートへのブーイングの凄まじさは特筆に値するだろう。

その頂点ともいえるものが、シャックスがハーキュリーズの持つDESTINY王座に挑戦した時である。もはや語るまでもないが、当時のハーキュリーズは全盛期であり、観客はハーキュリーズ目当てで会場に訪れている。当然、ハーキュリーズが王座防衛する瞬間を見に来ているのだ。そこでなんとメンバーの介入により、シャックスはハーキュリーズを破ってDESTINY王座を獲得する。

その瞬間、会場は割れんばかりの大ブーイングに包まれ、その中でシャックスは観客を煽るかのように誇らしげにベルトを両手で掲げる。その行為に観客はさらにヒートアップし、一部は暴動寸前であったという話もある。もちろん、熱心ながら少し捻くれたファンはこの状況をしめしめと喜んでいたようだ。

リーダー・シャックスのDESTINY王座戴冠、つまりデビルズ・ゲートが最も隆盛を誇っていた時期であった。

それからのシャックスはファルコンなどを相手に"しっかりと"メンバーを介入させつつ、王座を防衛していく。シャックスの物言いのつく王座防衛劇の中、ファンたちの間で巻き起こるのはハーキュリーズ返り咲きへの期待・・・。

それが最高潮になった時、満を持してハーキュリーズの王座挑戦が行われた。王座戦直前には、ハンディキャップマッチ、ハーキュリーズvsボティス&イーグル戦が行われ、ハーキュリーズが勝てば、王座戦でシャックスのセコンドの禁止と、メンバーを試合に介入させた時点で、王座剥奪をルールに追加するというものだった。

もちろん、ハンディ戦という不利な状況でもハーキュリーズは試合を行った。

途中、王座戦を有利に進めるためにシャックスが試合に介入しようとするが、ファルコンとポセイドンの2人に阻まれる。そして、ハーキュリーズは2人を相手に辛くも自力で勝利を掴み、王座戦でメンバーの排除に成功。ついにメンバーの介入を許さない正真正銘のシングルマッチ王座戦が行われることになった。シャックスはハーキュリーズ相手に執念を見せるが、ハーキュリーズの必殺技のパイルドライバーに敗れ、王座から陥落する。

それ以降も抗争は継続したが、終わりの見えない抗争に決着をつけるために、デビルズ・ゲートvs正義軍のエリミネーション形式の6人タッグマッチが行われた。通常のルールでは相手チームの1人を敗退させれば、その時点で勝ちが決まるが、このルールでは試合に敗退した者が退場することになり、メンバーが1人減った状態で試合は続行する。最終的に相手チームを全員脱落させたら勝ちである。

次々と両チームのメンバーが脱落していく中、最後に残ったのはシャックスとハーキュリーズで、チームの大将戦となった。シャックスはハーキュリーズのパイルドライバー、キャメルクラッチという必殺技フルコースを耐え凌ぎ、デビルズ・ゲートのリーダーとしての意地を見せる。その粘りは観客の心を変え、シャックスに声援を送る者もいた。シャックスはこの一瞬、ベビーとヒールの境界線を超越したのだ。シャックスは声援に奮起したのか、渾身の必殺技SDMをハーキュリーズに炸裂させる。しかし、それでも勝利は奪えない。ハーキュリーズも負けるわけにはいかないのだ。両者共に体力の限界まで戦う激しい消耗戦となり、この試合はDESTINY屈指の名勝負となっている。終盤、ハーキュリーズはシャックスをロープに振り、リバウンドしてきた瞬間、得意技のチョーク・スリーパーを敢行。じっくりとシャックスを締め上げてから、そのまま腰に手を回してジャーマン・スープレックス・ホールド!!ハーキュリーズは美しいブリッジを描く。そしてついに3カウントが叩かれ、ハーキュリーズはシャックスからフォールを奪い、正義軍の勝利となる。ようやく、善と悪の抗争に決着がついたのだ。

ハーキュリーズはいつもの必殺技ではなく得意技のジャーマン・スープレックスで勝負を決めるという、そのイレギュラーさが勝利への執念を十分に感じさせた。

抗争に敗北したデビルズ・ゲートは解散はせず、存続していたが、正義軍と抗争していた時に比べてパッとせず、軍団としてのピークを過ぎてしまった。それでもシャックスはスター王者となり、ボディスとイーグルはタッグ王者になったこともあったが、ボディスが試合中に負傷。長期欠場となって、ついにデビルズ・ゲートは自然消滅してしまう。

その後シャックス、イーグルはそれぞれシングルプレイヤーとして活躍。イーグルはスター王座獲得し、シャックスに至っては前述の通りの活躍である。シャックスはトーナメントを優勝するまで、以前と比べてインパクトは残していなかったが、フィニッシャーなどの躍進の裏で、実は中堅以上の地位をしっかりとキープしていたのだ。

ここで抗争終了後の正義軍のメンバーの活躍ついても触れておきたい。ハーキュリーズは第1回のコラムで書いた通り、団体の顔ながら低迷し、フィニッシャー戦でシュート事件を起こして団体から離脱。ポセイドンはそれ以降、スランプとなり、トーナメントの1回戦でシャックスに敗れたが、その後なんとか調子を取り戻しつつある。そしてブラック・ファルコンは名前からブラックを削除し、ファルコンと改名。それからハーキュリーズの低迷の裏でDESTINY王座を獲得し、トップに上り詰めた。

悪魔鳥人のこれから・・・

ファルコンを破ってDESTINY王者となったシャックス。その実績について単にトーナメント優勝と書いたが、実は大事な過程を"トリミング"した。そう、決勝のエリック戦では試合の最中にエリックと因縁のあるジ・エンターテイナーの介入もあって優勝したのだ。文句のつけようないの優勝ではなく、物言いのつく優勝というのがシャックスを体現している。だがもちろん、クリーンファイトでファルコンを破った実力者でもある。逆に言えば、ハーキュリーズのようなトップベビーは文句なしの優勝を遂げるだろう。しかしヒールにとって、どんな手段で勝とうが勝ちは勝ち。つまり優勝は優勝である。重要なのは結果であり、その前の過程はトリミングしてしまって構わないのだ。それがプロレスでもある。

なんだかんだ言っても、トーナメント優勝からの「インフェニティ・ポッシブル」のメイン戦でDESTINY王座獲得という実績、それはこれからのDESTINY王座戦線の中心はシャックスで、狡猾に長期政権を築きそうな気配である。

デビルズ・ゲートは自然消滅したが、善と悪の抗争劇という、DESTINYの世界観を観客に伝える役目を全うしたのだ。つまりその一員で、リーダーであったシャックスはハーキュリーズと真逆の立ち位置で、団体に多大なる貢献をもたらしたのである。

そんなシャックスに対して、前王者のファルコンは再戦権を行使するだろうし、フィニッシャーはいつ王座に挑戦してもおかしくない位置にいる。それに優勝を掠め取られたエリックがこのまま黙っているとも思えない。シャックスへの包囲網はしっかりと敷かれているのだ。これを上手く潜り抜けるのか、それとも・・・、なのか?こういった予想こそ、ファンの楽しみのひとつと言えるだろう。

【関連記事】